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2012年6月 7日 (木曜日)

放射線影響の真実〈鈴木崇彦先生講演会〉

Xmg_2419おなはま海遊祭の委員会で放射線に関する勉強会が行われました。一般公開しなかったのがもったいないぐらい、明快で分かりやすいご講演でした。講師は東大大学院・疾患生命工学センター放射線分子医学部門の講師である鈴木崇彦(たかひこ)先生。

海遊祭でなぜ放射線?と思われるかもしれませんが、昨年中止になった海遊祭を今年再開するにあたり、いくつかの問題をクリアしなければなりませんでした。その1つが、来場される方々の放射線への懸念。海遊祭は海に親しむイベントで、アクアマリンパークの海上でジェットスキーやバナナボートなどの体験乗船を楽しんでもらうのがメインです。放射線を心配して、海水に触れることに非難の声が出るかもしれない。では、今の小名浜の海の状況をどう考えたらいいのだろうか、という中で、わざわざ東大の先生をお呼びしたのでした。

講演の内容をかいつまんでご紹介します。

一番大事なことは、放射線医学の専門家の共通した見方は、今回の原発事故で福島県民のガンが増えることは考えられない、ということです。その論拠は次の通りです。

  • 11060802_2胸のX線検診は1回に50μSVの放射線を受ける。昔は300μSVだった。それは子供でも同じ。この検診によって発ガン率が上がったという結果は見られない。
  • 世界には自然の放射線が高い地域がある。ブラジルのカラバリ、チベットのラサ、中国などにもある。ガラバリは大地などから来る放射線が年間10mSV。これらの地域が食生活の似通った他の地域より発ガン率が高いという結果はない。
  • 宇宙ステーションに半年滞在した宇宙飛行士の被曝線量は180mSV(1時間あたり41.6μSV)。宇宙飛行士に放射線による健康の影響は出ていない。

放射線医学の専門家の一致した見方は、福島原発の事故は放射線の影響という意味では大事に至らなくてよかったね、ということだそうです。ガンリスクが高まる被曝線量は100mSVを超えた場合で、それ以下であればリスクは高まらないというのです。

11060808_3私が非常に共感したのはこの図です。もちろん低線量とはいえ、放射線被曝のリスクがまったくないとは言い切れない。しかしそれは、喫煙、飲酒、野菜不足、ストレスといった従来の発ガンリスクに新たに「放射線」という要素が加わったということで、個人個人のリスクの総和がどれくらいかが問題なのだ、ということです。つまり、放射線だけにいくら注意しても、その他の要素が大きければガンのリスクはなくなっていないのです。驚いたことに、発ガンリスクの中には薬やサプリメントも含まれるとのこと。そういう意味では、いたずらに放射線のみを心配するのではなく、様々な生活の要素を全体として見ることが必要だということになります。

Xmg_2424今回初めて聞いたのは、放射線被曝は直接ガンを発生させるのではない、ということです。放射線の影響というのは、他の要因によって起こるガンを助長することにあるそうです。つまり、喫煙、飲酒等によってガンになるリスクを高めてしまうということで、そうした発ガンリスクがなければ、放射線が直接的にガンを引き起こすことはないということです。放射線がDNAを傷つける、ということが言われますが、そのことによる発ガンというのはきわめて少ないということでした。

現在、日本社会で起こっていることの問題は、いたずらに危険をあおる専門家の存在だと言います。子供は大人の1.5~2倍、放射線の影響を受けやすいと言われていますが、子供にとって最も影響が大きいのは「苦痛」を受けること。そこには肉体的苦痛だけではなく精神的苦痛も含まれます。学校の成績が悪い、ということを苦痛に感じると、そこから非行や閉じこもりという問題が起こる場合がある。放射線の影響を懸念して避難した場合、子供が納得していないと友達から引き離されることを苦痛と感じる恐れがあり、その影響の方が大きいというのです。

Xmg_2432鈴木先生自身は、先生のこうした発言によって問題が起こった場合、その責任を取る覚悟があると言われます。では、危険をあおる専門家の言葉で精神的なストレスを感じ、それによって問題が起こった場合、彼らは責任を取る覚悟があるのだろうか、と問い掛けられました。そうした方々と議論をしてみたいとのことでしたが、応じてくれる方はいないのだそうです。

安心、安全は1人1人の考えであり、事実を事実としてとらえ、賢く生きることが必要だ、というのが締めの言葉でした。皆様はどうお考えになるでしょうか。

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コメント

安全安全でないは、専門家によってことなりますよね。異なるくらいの事故で有ったことは不幸中の幸いです。今後も、放射性物質と共存して生きるために、庶民でも、知識が必要と今回の事故で思いました。この小名浜の海でストロンチウムがどれくらい検出されて何年くらいたつと消えるかとか。具体的な情報があまり伝わってきません。どこで手に入れることができるのでしょうか。

投稿: yoko | 2012年6月16日 (土曜日) 07時22分

どうか、いわき全部の小中学校の校庭の土を剥がし除染してください。今年、長男が小学校に上がりましたが、不安でたまりません。
リスクを下げる意思をお願いします。低いからって、普通の線量じゃありません。土も汚れています。風で校庭の砂ぼこりが舞うなか、外で遊んだり、体育やってる子供達がいます。お願いです。より安全を求めてください。

投稿: | 2012年7月21日 (土曜日) 16時59分

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