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2011年6月 5日 (日曜日)

究極の失望〈菅内閣不信任案〉

Kan16月2日、菅直人内閣に対する不信任決議案が衆議院に提出され、否決されました。

この手の政局にまつわる話題は今までこのブログで書いたことがありませんでしたが、政治への信頼をここまで揺るがす事態は看過できませんので、あえて書かせていただきます。

私は学生時代から政治に関心を持ってきましたが、内閣不信任案というものは与党が粛々と否決してやり過ごすもの、というのがふつうです。これが通るのは、宮沢内閣のときのように与党が分裂するときです。その意味で、今回も否決で終わったのはある意味当然の結果です。

が、問題は、民主党の分裂もにらんで与党に賛成派が多数生じた状況を一転させたのが、首相の辞意(と思われた)表明だったということです。それまでの情勢は「可決」だったのです。2日午後1時頃、テレビで「首相が辞意表明」とのテロップと共に、菅首相が思うところを述べている姿を見て、政治状況が一歩進んだ、とほっとしていました。その結果として、次の決議案否決は自然な流れでした。しかし否決後、首相が辞めるのは「震災対応、原発に一定のメドがついたら」ということで、展望としては半年以上先になりかねないという話になってきました。こんなことでは、「任期一杯で辞める辞意表明」も可能になってしまいます。

首相は慎重に慎重に言葉を選び、採決前の民主党代議士会でも、官邸での記者会見でも、翌日の国会審議でも、いつ辞めるということを言わない。その意味するところは「しばらく続ける」ことだということが明らかになってきました。

これは、政治のあり方の根幹に関わる大問題です。「菅首相は辞めると言ってない」という視点で見ると、なるほど1つ1つの発言はそう言っていないようにも見える。ただ、「事実」の問題として、多くの民主党議員が「首相は辞める」と思い、政治行動を大きく転換させたのは間違いありません。

一国の宰相の進退は、国の進路に関わる重大なことです。それについての言葉が、「どちらとも取れる」のでは話になりません。ましてその言葉が「わざと誤解を招くように表現した」ものだとすれば、まさに詐欺以外の何ものでもありません。詐欺によって国家の最高権力者の椅子を保持したとすると、それは犯罪ではないでしょうか。

首相の進退がこんな風に決められるのは、少なくとも私が物心ついてから見たことがありません。これまで私は、世の多くの人々が「政治が変わっても世の中は変わらない」と醒めた目で見ているときも、そうではないと思ってきました。政治には貴い使命があり、その使命に殉じようとしている政治家も少なからずいると信じてきました。しかし、総理大臣たるものがこのようなごまかしで延命を図ろうとしている姿には、さすがに失望の思いを禁ずることが出来ません。

菅首相のこれまでの政権運営にはいろいろな評価がありうるでしょう。しかし事ここに至って、日本の国を一歩でも前に進めることはもはや不可能でしょう。被災からの復興と原発問題の収束という一刻を争う緊急のときだからこそ、1日も早い退陣を頂くしかないと思うのです。

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コメント

日本人には、世界観がない。
それで、人々には、社会の行き着く先に想いを寄せる習慣がない。
だから、政治問題に関心がなく、その解決策にも関心がない。
「指導者は、何もしないのが最大の貢献である」とか、「指導者には、いますぐ辞めてもらいたい」といったものばかりが考えとなる。
現在の指導者を助けて長持ちさせ、改革の効率を少しなりとも上げるといった考え方はない。
より良い指導者を推薦することもなく、より良い政策を提案する能力もない。

どうして現在の指導者を退陣に追い込むかに頭を使っている人が大勢いる。
問題解決の能力はないが、事態を台無しにするだけの力を持った人がいる。
それで、各首相の政治生命は結果的に甚だ短い。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

投稿: noga | 2011年6月 5日 (日曜日) 05時34分

nogaさん、コメントありがとうございました。

安倍内閣以降、政権が1年しか持たなくなってしまいました。これは一般論としては好ましくないことです。菅内閣への不信任決議案提出も果たして是認されるのか、との疑問はありました。

しかし、可決を阻止するために「辞任すると聞こえるが辞任するとは言っていない」演説をして延命を図るような総理大臣だったのだと知った瞬間、やはりこの人に日本の国を任せることは出来ないと強く思いました。

いくらスタッフが優秀でも、全体をとりまとめる才覚のない人がトップでは物事はうまくいきません。もちろん、では次に誰がやるのかは明確ではありません。しかしそこは与野党知恵を出し合って、3月11日以降、危機に対応しきれない国の体制を立て直すという観点から、政権の枠組みと首班を決めてもらうしかありません。

投稿: 小野潤三 | 2011年6月 5日 (日曜日) 23時16分

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