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2006年8月25日 (金曜日)

慰霊の伝統芸能〈じゃんがら〉

Xmg_3080いつだったか、カーラジオをつけたら民謡の番組をやっていた。「盆踊り」の特集だったが、最初の曲が何と「じゃんがら」だった。何でだ?と思ったが、次のように説明していた。盆踊りはお盆の踊り。つまり、先祖の慰霊の踊りだというわけだ。じゃんがらはまさに先祖の慰霊の踊りであり、これぞ盆踊り中の盆踊りだということになる。な~るほど!

Xmg_3093毎年お盆になると、新盆の家をじゃんがらが回る。腰の下に下げた太鼓を独特のリズムと動きでドンドコ激しくたたく。10数人の鉦(かね)がチャンカチャンカ音を鳴らしながら太鼓の周りを回る。衣装もノースリーブの着物に、背中の後へ長く垂らした白いたすき、白い腕カバー(情緒がない表現だね。何と呼ぶのか)、白い鉢巻きと独特のいでたち。

Xmg_3098じゃんがらの権威とされる夏井芳徳さんによると、「じゃんがら念仏踊り」は茨城県の泡斉というお坊さんの「泡斉念仏踊り」にいわきの民謡を取り入れ、独自の念仏踊りにしたのが始まりで、1656年7月、小川江筋の開削者・沢村勘兵衛勝為の一周忌に上平窪の利安寺で踊ったのが始まりということだ。よく聞くのは佑天上人が始めたものというもので、じゃんがらの由来は諸説あるようだが、とにかく400年も前に始まった古い歴史のあるものであることは間違いない。

Xmg_3106当時は老若男女が混じって歌い踊ったもので、今で言えばヨサコイソーランのように民衆がエネルギーを爆発させるようなものだったようだ。しかし、祭りにありがちな男女の性的乱れや明治に入っての西洋化の流れの中で政府から禁止令が出され、じゃんがらは姿を消した。明治28年に再生されたときには現在のようなじゃんがらに姿を変えたということだ。

Xmg_3107そうした変質に対する歴史的評価はさておき、数百年の時間の経過の中で先祖を慰霊する現在の姿になったのは、私はよかったのではないかと思う。いわき各地の青年会が中心となり、それぞれのじゃんがらを伝承している。会によって踊り方は微妙に違うという。全国で有名な祭りが多数ある中、いわきも市民全体が参加できるものをということで、現在「いわき踊り」が毎夏行われているが、言っちゃ悪いが取って付けたような踊りで何か「浅い」と感じる。そうではなくて、じゃんがらをこそいわきの祭りの中心に据えるべきだという意見もある。う~ん、私もそちらに賛成だな。人工的に作ったイベントはどうしても深みがない。そして、宗教性が絡むものには深みが出る。じゃんがらは500年の歴史と今なお息づく先祖への慰霊の心があって、いわき独特の文化的香りを生み出している。

Xmg_3110「いわきはじゃんがらだ」という強い信念を持っていたのが、三共出身で配置薬会社「一貫堂」の社長だった故青田恵太郎さんだった。青田さんの思いをジャズ歌手スージー黒岩さんが受け、じゃんがらとジャズをコラボした「じゃんがらジャズフェスティバル」が行われた。伝統芸能を今に生かす意欲的な試みだと思う。
http://www.geocities.jp/jjf_vol_2/
http://www.hibinoshinbun.com/files/11gou/aota_11.html

…じゃんがらを語ると長くなってしまう。それほどじゃんがらは、いわきならではの魅力ある文化なのである。お盆の時チャンカチャンカという鐘の音が聞こえてくると、ついつい惹かれていく。じゃんがらを踊るのは最近家族が亡くなった家ばかりなので、ただ楽しく見るというわけにはいかない。失った人にどんな思いをこめながら家族がこの慰霊の踊りを見ているのだろうと神妙な気持ちになる。

Xmg_3112実は今年、義理の叔父である蛭田医院の蛭田親先生が亡くなり、じゃんがらがやってきた。小さい頃から熱を出したりするといつも見てもらっていた先生だったので、送る気持ちもひとしおで、じゃんがらを見るのも特別な心持ちになった。

いわきに欠かせないじゃんがらではあるが、もっと広がりを持たせるようなことを考えてもいいのではないかと思う。

※じゃんがらの情報
http://www.denshogo.jp/setumei.htm
http://www.denshogo.jp/rekisi.htm
http://www.iwakimc.com/sozo/29/res_1.html
http://www2m.biglobe.ne.jp/~momotaro/talk/localstory/jangara1.htm
http://www.tif.ne.jp/jpn/ati/SearchColumnDetail_a-8-g-184-c-1023.pst
http://blog.goo.ne.jp/ebistrade11/e/837a512c3b30226fe8d39d4b0e013e49
http://www.culture.fks.ed.jp/mingei/iwaki.html
http://www1.ttcn.ne.jp/~yoiyami/jangara/jangarast1.htm
http://www5f.biglobe.ne.jp/~hanakotoba/jyongaranenbutu.htm
http://www1.ttcn.ne.jp/yoiyami/jangara/jangara1.htm
http://www.unsui.info/summer/iwaki.html

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コメント

いつ”じゃんがら”が登場するか、心待ちにしておりました。いわきを語る上で、”じゃんがら”は、真打登場といったところではないでしょうか。
子どものころは、夜中までじゃんがらが来ていて、太鼓のばちを振り上げたときに、ばちの先の白いところが、真夜中の灯りに光ったのが、怪しくも、とても美しく感じたものでした。お盆にお里帰りしたご先祖様の魂が、あのばちの先に宿っているような気がしたものです。夏の夜空に響きわたる、じゃんがらの太鼓とかねの音が、私にとってのふるさとの夏の音です。
主人と娘もじゃんがらは大好きで、このために、必ずお盆には帰省して、ご近所のじゃんがらの”おっかけ”になっています。
最近見ていて気になるのが、じゃんがらに参加されている方の中に、若い方が年々少なくなる傾向にあることです。じゃんがらは、全国に誇れる、いわきの重要な文化遺産であり、自治体がきちんと、今後の継承のことを考えなければならないのではないでしょうか。
ところで、文中に、小川江筋に関する部分がありましたが、小川江筋や沢村勘兵衛勝為も、平地区の歴史を語る中では、重要な存在だと思います。私たちが小学生のころは、勘兵衛を祭った神社に遠足に行って、その功績をしのぶ機会たありました。きっと最近は、その存在について語られる機会も少ないのではないでしょうか。ぜひ、小野さんの取材で、歴史に光を当てていただきたいと思います。

投稿: たかはし まみ | 2006年9月19日 (火曜日) 12時16分

じゃんがらの衣装はイケメン度をアップさせるらしく、「女性の観光客に大人気なのですよ。」と湯本温泉のとある主人が言ってました。

じゃんがらについてはそれぞれの家で色々な話が出てきます。よく聞くのが遅くに来るじゃんがらと突然来るじゃんがら。家でもこんなことを経験しました。
20年近く前のこと、家で新盆をしたときには、あまりにも遅くまで来るものですから、お迎えの灯篭の電気も消して、盆棚のちょうちんも灯明も消してじゃんがらの来襲を防ぎました。しかしながら電気が消えていても灯篭を見つけられ、結局寝ているところを飛び起きたということもありました。その時はじゃんがらも家の人たちも泥酔なんですけどね。

家では「御礼」という熨斗袋と「御酒代」という熨斗袋をいくつも用意しておきましたが、終いには足りなくなって、御仏前の袋を急いで開けて詰め替えたということもありました。
その後2回ほど新盆をしましたが、そのときにはほとんどが予約になってましたし、流しで来てもまず供養してもいいのかどうか問われました。問答無用のじゃんがらは昔の話ですね。
家では問答無用のじゃんがら大歓迎なんですけどね。

投稿: 若隠居 | 2006年9月20日 (水曜日) 12時07分

たかはしさん、コメントありがとうございます。
そうですか。心待ちにされていましたか(^^;) 遅くなってすみません。じゃんがらの話題はお盆のうちに書こうと思っていたのですが、別のコメントにも書いたように何かと行事が多く、遅くなってしまいました。
いわき全体でじゃんがらをどう継承していくかの枠組みはないのが現状のようですね。今後の大事なテーマの1つだと思います。

投稿: 小野潤三 | 2006年9月23日 (土曜日) 21時20分

ご隠居様、コメントありがとうございます。
流しのじゃんがらというのは初めて聞きました。実を言うと、子供の頃のじゃんがらの記憶というのは私の場合あまりないのです。もちろんじゃんがらそのものは知っていましたが。じゃんがらの良さをよく認識するようになったのは、10年前、いわきに帰ってきてからです。
高みに祭り上げられた「伝統芸能」ではなく、今なお生活に密着したじゃんがらは、貴重なものだと改めて思います。
ところで、じゃんがらラーメンというのが全国的に有名ですが、何なのでしょうか。ネットで調べていたら、長崎県の平戸にジャンガラという伝統芸能があって、それに由来しているという話がありました。平戸のジャンガラを調べてみると、胸のあたりに太鼓をつけて踊るもので、鉦や笛も入るなどいわきのじゃんがらと共通点があります。こちらは国指定重要無形民俗文化財なのだそうですが、だったらいわきのじゃんがらも重要無形民俗文化財ぐらいにしてもらったってよさそうなものです。この違いはいったい何なのでしょう。

投稿: 小野潤三 | 2006年9月23日 (土曜日) 21時38分

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