2012年9月12日 (水曜日)

いわき市議会議員選挙ご報告

120910b_39月9日に行われたいわき市議会議員選挙におきまして、無事当選を果たすことが出来ました。37議席をめぐる41人の候補者の中で第2位、4888票をいただき、予想外の高得票に驚いています。多くの有権者の方々のご支援の賜物だと思っています。

選挙戦の中では特に、新しい産業の創造、医療ネットワークの構築、心を育て能力を花開かせる教育の3点を訴えました。原発への対応などはもちろん重要ですが、それと共に未来への手を今打っていかなければ、このまちに住み続けることが出来なくなってしまいます。震災後のいわきをどう作っていくのか、ここからが正念場だと思います。

市政の場で取り組みたいことは沢山ありますが、実現できること、できないこと、色々と出てくると思います。いずれにしても市議会という場で直面した様々な出来事については、このブログやFacebook、その他の方法でできるだけこまめに情報発信していくつもりです。いわき市政ってどうなっているのか、1つ1つのことがどう決まり、なぜそうなったのか、分かりやすく伝えていければと思います。市政の主役はつまるところ市民の皆様1人1人ですので、こうした情報を受け止めていただいて、これからのまちをどうしたらいいのか、一緒に考えていただければと思います。

なお、この記事は「報告」であって、「御礼」ではありません。当選直後に知ったのですが、公職選挙法で「当選後の挨拶」は禁じられているのです。金品を提供するならまだしも、お世話になった方々に挨拶も許さないこの法律には違和感を感じます。世の中、変えていくべきことがたくさんあると改めて感じる一事でした。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年9月 1日 (土曜日)

誇りあるふるさとづくりへ〈いわき市議会議員選挙〉

いよいよ明日、いわき市議会議員選挙が告示されます。震災後初の市議選で、これからのいわきをどう持っていくのかが争点となるでしょう。

私はこんな風に考えています。
1.いわき市は地震、津波、原発の大きな被害を受けた。震災は今も続いており、市民の受けた傷は癒えていない。
2.しかし、いわき市は他の被災地に比べ、いち早く日常生活を取りもどした。今は建設業、小売業、飲食店などが「復興バブル」で業績好調となっている。
3.だが、「バブル」は長くは続かない。今は新たな手を打つチャンスであり、このときに将来を見据えて手を打っていかないと、いわきに未来はない。

子供たちに未来を、若者に夢をつないでいく(引き継いでいく)、誇りあるふるさとづくりを進めていかなければなりません。

命を守る医療をつくる。

心を育て、能力を開花させる教育をつくる。
くらしの基盤となる新しい産業をつくる。
いわきにはそのポテンシャルがある。
再生のための資源が残っている。
それを呼び起こし、くらし続けられるまちを
つくっていける、と考えています。

現状批判だけではダメです。
「これからのいわき」が見えてこないと。
それを作っていける若さがないと。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

それぞれの思いを未来へ〈いわきハート〉

私の事務所は元書店だったところの空き店舗で、しばらく使われていなかったためにシャッターがさび付いて開かなくなっていました。それではペンキを塗って、出来れば絵でも描いちゃおうかな、という話をアクアマリンふくしまでデザインを担当されている伊藤隆治さんにしたところ、「じゃあ、子供達のワークショップをやっちゃいましょうか」という提案を頂き、実現の運びとなりました。

題して「いわきハート」。
いわきにはたくさんのハートがあります。
ハートから思いやりが生まれます。
思いやりのある、ハートのある「いわき」を子供が作ります。

伊藤さんの上手な導きで、我が家の3人娘とその友達で2日がかりの作業が行われました。

Xsc120808_1016

まずは説明。どんな壁にするのか、イメージが湧いてくる湧いてくる。

Xsc120808_1023

材料を買いに行こう! ホームセンターでペンキなどを物色。

Xsc120808_1043

ハートを描いていく枠をまっすぐに描く。シャッターがでこぼこしてるので描きにくい~。

Xsc120808_1061

さあ、ハートを描いていこう。形もいろいろ。色もいろいろ。でもハートの中はみんな真っ白なんだ。

Xsc120809_1078

初日で1面完了! 2日目は2面目に。炎天下だけどみんな飽きずに塗り続ける。「楽しい~」と叫びながらね。

Xsc120809_1094

絵を描き終わったら、タイトルを。まずは下書き。

Xsc120809_1101

塗って塗って、「い・わ・き…」

Xsc120809_1119

はーい、完成! 私の知らないうちに安部館長も来られていて、ビックリしました。

翌朝から車で通る方々の視線が確実にこちらに向いていました。何か心うきうきするシャッターでしょう? 伊藤さんが命名したのが「いわきハートキッズ」。シャッター通りと化した商店街を子供達が明るく楽しくしますよ~。いわきの未来、何か明るく感じるなあ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月11日 (水曜日)

小野潤三の議

Xsc120711_06989月9日に行われるいわき市議会議員選挙を目指して、本日事務所開きを行いました。

顧みれば3年前、補欠選挙に出馬し、26000票余りの得票を頂いたものの、次点で涙をのみました。捲土重来を期し、今年を目指してきました。

「いわき再生!」-それが思いのすべてです。傷ついたふるさとを取り戻し、このまちに生まれてよかった、このまちに生きてよかったと思えるようないわきを作り上げたいと考えています。

震災の傷跡はまだ癒えていません。原発は「一応の」収束を見たかも知れませんが、本当の収束にはまだ10年、20年、30年という歳月を要します。このまちに降り注いだ放射性物質を取り除くにもまだ多くの時間が必要です。津波被害地に対しては一昨日、市の都市計画審議会で復興土地区画整理事業案が了承されましたが、復興公営住宅の建設などにはまだ1~2年の時間が必要です。「仮のまち」の建設が取り沙汰されていますが、双葉郡から避難してこられた万単位の方々といわき市民が、折り合いをつけて生きていく方策を見出していかなければなりません。

Xsc120711_0702_3その一方で、震災の後「いわきの復興は小名浜から」というスローガンのもと、小名浜で様々なことが動き始めています。私が小名浜まちづくり市民会議の事務局長や副会長という立場で取り組んできたことが、急速に具現化しようとしています。

長年の懸案であった福島臨海鉄道の貨物ヤード移転と跡地の再開発は、イオンモールの出店が本決まりになっています。耐用年数を過ぎて立て直しが課題となっていた小名浜魚市場は、いわき・ら・ら・ミュウ向かいの1号埠頭に最新鋭の荷さばき施設を備えて新築されることが決まりました。昨年春に小名浜港が国際戦略バルク港湾に指定され、石炭の取り扱いで日本を代表する港になりました。20年来の懸案だった人工島・小名浜東港は新たな物流港としての発展が期待されます。国の実証実験が行われることになった浮体式洋上風力発電は、ポスト原発時代の新エネルギーとして期待を集め、実用化が実現すればいわきは世界有数の風力発電基地となり得ます。小名浜港はそのための製造拠点としての展開が期待されます。

しかし、これらの政策が本当に実効性のあるものになるかどうかは未知数です。イオンモールの計画がどのようなものになるか、具体的にはまだ見えていません。魚市場も設計はこれから。カツオをはじめとした主力魚種の水揚げをどれだけ確保できるのか、そして小名浜の漁業に対する風評をどう克服していくのか、重い課題が残っています。風力発電も実証実験はいいとして、その後事業化により100基にのぼる建設は実現できるのか、そのスキームはまったく見えていません。今の段階では「可能性」が広がっているものの、それを「現実化」していく作業が必要です。

Xsc120711_0729この地で人々が生き続けていくためには、活力ある産業の育成が不可欠ですが、そのための施策であったはずの「ふくしま産業復興企業立地補助金」の補助率を、いきなり3分の2から3分の1に減らすと政府が言い出しました。30億円かかる新事業に対し、20億円の補助を得て自己資金10億円で実施しようとしていた企業があるとすると、突然あと10億、自己資金を用意せよと言われたことになります。企業にとって資金計画というのは生命線であり、それが調達できなければ事業そのものを見直すことになります。補助金の採択企業がすでに決まっているのに、補助率のこんな引き下げは乱暴に過ぎます。ことほどさように、国、県、市の施策も、よく監視していないといつの間にか変質することがあります。いわきの産業再生に向け、しっかりとした施策を構築することが必要です。

我々が生活する上で大事なのは、医療と教育。磐城共立病院は建て替えが決まりましたが、この病院のみで地域医療のすべてをまかなうことが出来るわけではありません。民間の病院、そして開業医の先生方の協力も得て、地域としての医療ネットワークを再構築することが必要です。

教育問題は、子供達の可能性を最大限に引き出してあげられる態勢が必要です。いわき市の場合、大多数の子供達はいわき市立の小中学校を経て、県立の高校に進学しますが、その連携はうまくいっているのか。有名大学を目指す子、商業、工業、農業、水産といった技能を身につけたい子など、それぞれが目指すところを実現できるような教育の流れが必要です。全国的にもかなり悪い水準にある10代の妊娠中絶や性感染症の問題は、性のあり方を人間の根源的なところから考えさせる教育が必要だと考えます。

そして、こうした1つ1つの施策を実現する上で、行政の意志決定の仕組み、行政はサービス業だという意識改革など、行政のあり方そのものを問い直すことも不可欠です。

震災で傷ついたこのまちをどう導いて、未来のいわき市を作っていくのか。課題は山積しています。浅学非才な者ではありますが、その一端を担わせていただきたく、このたびの決意をいたしました。多くの皆様のご理解を頂ければと考えております。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月14日 (木曜日)

小沢一郎という政治家

Photo_4週刊文春で小沢一郎氏の離婚が報じられています。小沢夫人がその思いを支持者に向けて書き綴った手紙も公開されています。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/1442

私はかつて、小沢氏という政治家に大きな期待を寄せていました。若くして自民党の幹事長まで登り詰め、自分さえその気になればいつでも総理大臣になれるような力を持ちながら自民党を離党、その後の政界再編の流れを作りました。

自民党政権の末期や今の民主党政権を見ていても、政治家というのは政権から離れることを何が何でも避けようとするものであるのがよく分かります。しかし小沢氏は宮沢内閣不信任案に賛成し、決然と自民党を去ったのです。そのとき私は、度肝を抜かれるぐらい驚きました。

その後の小沢氏は新しい日本社会を作るため、一貫した政治行動を取っていると見ていました。新進党から自由党に至り、自助・自立を基調とした日本社会のあり方を明確に述べていて、自由党の理念「フリー」「フェア」「オープン」には強く共感していました。まずは自分の力で生きていくこと、そのような自立した人々が自由で公正な社会の中で活力ある生き方をしていくことこそが日本社会の力だ、ということです。

しかし、政治の世界は多数を取らない限り、素晴らしい理念も実現することは出来ません。小沢氏の選択は民主党への合流ということで、この時点で小沢氏は大きな路線変更をすることになりました。今の民主党のばらまき政策-高速道路無料化、高校無償化、農家の戸別所得保障…はかつての自助・自立という小沢氏の理念とどう考えても整合性が取れません。小沢氏の政治目的は、「理念は別として、非自民の政権を樹立し、それを維持する」ことのみに矮小化してしまったのだと感じます。

今回の文春の報道について、真偽のほどは分かりません。が、よもや夫人直筆の手紙をねつ造もしないでしょうから、小沢夫人の思いとこの手紙の存在は事実なのかと思っています。そこに綴られているのは家庭的なスキャンダルと震災時の郷土への姿勢ということですが、かつて私が期待した政治家の姿はここにはないという思いが募ります。

ただ、小沢氏がかつての理想を貫ききれなかったのは、やはり結局は多数を取らなければ物事を実現できない民主主義というルールに起因しています。そして、民主主義社会において社会の方向性を選択するのは我々有権者自身だということです。小沢氏が目指した社会の姿が本当に良かったかどうかは議論があるところでしょうが、新自由クラブから始まって、みんなの党やたちあがれ日本、新党改革など、何らかの思いを持った少数政党がなかなか志を遂げられないのも残念なことです。

政治家を批判するということは結局、天につばするようなもので、そういう政治家を選んできた有権者自身に矛先は返ってきます。日本社会はもっともっと成熟することが必要なのではないかと思うのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月10日 (日曜日)

放医研をいわきに!〈誘致する会市民大会〉

Xmg_24466月9日、いわき市文化センターで「放医研をいわき市に誘致する会総会(市民大会)」が行われました。会長が小野栄重・いわき商工会議所会頭、「私たちも応援してます」代表として長谷川徳男・いわき医師会会長、国・県・市の各議員の方々も参加され、いわき市あげて放医研の誘致に取り組むことが確認されました。

Xmg_2489放医研というのは独立行政法人放射線医学総合研究所のこと。ビキニ環礁での水爆実験で漁船の乗組員が放射線被曝したことで知られる第5福竜丸事件や、原発等原子力の平和利用を進めるため、1957年に設立された機関です。常勤、非常勤合わせて約900人が勤務されているということですが、独立行政法人の中では2番目に小さな組織だそうです。体内の断層撮影をするPET診断というのがありますが、この技術を開発したのは放医研だとのこと。1999年のJCO臨界事故でも患者の治療に当たった機関だそうです。
http://www.nirs.go.jp/index.shtml

取り組んでいるテーマは

  • 放射線の人体への影響
  • 放射線による人体への障害の予防、診断、治療
  • 放射線の医学利用(放射線治療など)

といったこと。

第1部として放医研の研究基盤センター長である取越正巳さんが講演され、放医研について詳しく語られました。放医研では5つのセンターがあり、それぞれに担当している研究内容が異なります。講演から、各センターについてご紹介します。

Xmg_2461_3【放射線防護研究センター】
人体や環境への放射線の影響を研究。自然に存在するラドン、CTスキャンなど医療における被曝、飛行機に乗った場合の被曝などを調査しているそうです。震災後注目されている低線量被曝の影響もここで研究を進めているとのこと。

【緊急被ばく医療研究センター】
放射線被曝をした場合の緊急医療体制としては、全国の中核機関として三次被曝医療機関、地域レベルで地域三次被曝医療機関、その下のレベルで二次被曝医療機関、初期被曝医療機関という形になっているそうです。放医研はその中の全国レベルの三次医療機関と地域三次医療機関の役割を担っています。IAEA(国際原子力機関)加盟国での被曝事故に対する医療協力、アジア諸国に対する人材育成のための研修なども行っているとのこと。

【重粒子医科学センター】
Xmg_2469_2Xmg_2472_3Xmg_2477_2いたのが、このセンター。体内の深部にのみ放射線量を集中できる「重粒子線」を用いたガンの放射線治療を行っています。講演後、取越さんに伺ったら、よそで手のつけられないようなガン患者ばかりがやってくるとのこと。手術不能とされた骨肉腫も重粒子線できれいにガン細胞を除去した例を示されました。この技術があればガンの「日帰り治療」も可能だということです。「午前中の検査でガンが見つかったから、午後からちょっと取りに行こうか」というレベルなのだとか。
この治療を支えるのが重粒子を加速するための機械、HIMAC。理屈が今ひとつ分かりませんが、長さ120m、幅65mに及ぶ巨大なこの加速器で重粒子を高速の84%(!)まで加速し、体内に照射するのだそうです。この機械は何と330億円!(現在では技術開発が進み、サイズ、コストとも3分の1まで低減できている)
あらゆるガンに適用できるのかどうか分かりませんが、夢のガン治療が可能になりつつあるのかも知れません。

【分子イメージング研究センター】
分子イメージングとは、生物が生きた状態のまま、体の外から遺伝子やタンパク質等の動きを観察する技術、とのこと。アルツハイマーの治療やガンの診断に役立てられているそうです。

放医研は震災後、オフサイトセンター(現地対策本部)、Jビレッジ、福島県立医大などにおいて放射線被曝への対応について指導や助言を行い、第一原発内で被曝した患者の線量評価や除染なども行ってきたということです。原発事故への対応はいろいろと報じられてきましたが、そこに放医研が深く関わっていたことを初めて知りました。

これからいわき市内でこの機関を誘致するための活動が進められます。非常に素晴らしい研究機関であり、震災後の日本においてきわめて必要性が高いのは言うまでもありません。いわき市は陸上および海洋において放射線被害を受け、原発立地地域から多くの避難者を受け入れ、原発作業員の方々の前線基地でもあります。放医研が立地するのにこれ以上適した地域は恐らくないでしょう。放射線被害への対応というだけでなく、ガン治療をはじめとした地域医療にとってもきわめて意義のある施設になると思います。

「放医研をいわき市に誘致する会」の活動の1つは署名活動です。ネット上でも署名が可能ですので、多くの方々にご協力を頂ければと思います。
http://iwaki-cms.net/invitation/index.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月 7日 (木曜日)

放射線影響の真実〈鈴木崇彦先生講演会〉

Xmg_2419おなはま海遊祭の委員会で放射線に関する勉強会が行われました。一般公開しなかったのがもったいないぐらい、明快で分かりやすいご講演でした。講師は東大大学院・疾患生命工学センター放射線分子医学部門の講師である鈴木崇彦(たかひこ)先生。

海遊祭でなぜ放射線?と思われるかもしれませんが、昨年中止になった海遊祭を今年再開するにあたり、いくつかの問題をクリアしなければなりませんでした。その1つが、来場される方々の放射線への懸念。海遊祭は海に親しむイベントで、アクアマリンパークの海上でジェットスキーやバナナボートなどの体験乗船を楽しんでもらうのがメインです。放射線を心配して、海水に触れることに非難の声が出るかもしれない。では、今の小名浜の海の状況をどう考えたらいいのだろうか、という中で、わざわざ東大の先生をお呼びしたのでした。

講演の内容をかいつまんでご紹介します。

一番大事なことは、放射線医学の専門家の共通した見方は、今回の原発事故で福島県民のガンが増えることは考えられない、ということです。その論拠は次の通りです。

  • 11060802_2胸のX線検診は1回に50μSVの放射線を受ける。昔は300μSVだった。それは子供でも同じ。この検診によって発ガン率が上がったという結果は見られない。
  • 世界には自然の放射線が高い地域がある。ブラジルのカラバリ、チベットのラサ、中国などにもある。ガラバリは大地などから来る放射線が年間10mSV。これらの地域が食生活の似通った他の地域より発ガン率が高いという結果はない。
  • 宇宙ステーションに半年滞在した宇宙飛行士の被曝線量は180mSV(1時間あたり41.6μSV)。宇宙飛行士に放射線による健康の影響は出ていない。

放射線医学の専門家の一致した見方は、福島原発の事故は放射線の影響という意味では大事に至らなくてよかったね、ということだそうです。ガンリスクが高まる被曝線量は100mSVを超えた場合で、それ以下であればリスクは高まらないというのです。

11060808_3私が非常に共感したのはこの図です。もちろん低線量とはいえ、放射線被曝のリスクがまったくないとは言い切れない。しかしそれは、喫煙、飲酒、野菜不足、ストレスといった従来の発ガンリスクに新たに「放射線」という要素が加わったということで、個人個人のリスクの総和がどれくらいかが問題なのだ、ということです。つまり、放射線だけにいくら注意しても、その他の要素が大きければガンのリスクはなくなっていないのです。驚いたことに、発ガンリスクの中には薬やサプリメントも含まれるとのこと。そういう意味では、いたずらに放射線のみを心配するのではなく、様々な生活の要素を全体として見ることが必要だということになります。

Xmg_2424今回初めて聞いたのは、放射線被曝は直接ガンを発生させるのではない、ということです。放射線の影響というのは、他の要因によって起こるガンを助長することにあるそうです。つまり、喫煙、飲酒等によってガンになるリスクを高めてしまうということで、そうした発ガンリスクがなければ、放射線が直接的にガンを引き起こすことはないということです。放射線がDNAを傷つける、ということが言われますが、そのことによる発ガンというのはきわめて少ないということでした。

現在、日本社会で起こっていることの問題は、いたずらに危険をあおる専門家の存在だと言います。子供は大人の1.5~2倍、放射線の影響を受けやすいと言われていますが、子供にとって最も影響が大きいのは「苦痛」を受けること。そこには肉体的苦痛だけではなく精神的苦痛も含まれます。学校の成績が悪い、ということを苦痛に感じると、そこから非行や閉じこもりという問題が起こる場合がある。放射線の影響を懸念して避難した場合、子供が納得していないと友達から引き離されることを苦痛と感じる恐れがあり、その影響の方が大きいというのです。

Xmg_2432鈴木先生自身は、先生のこうした発言によって問題が起こった場合、その責任を取る覚悟があると言われます。では、危険をあおる専門家の言葉で精神的なストレスを感じ、それによって問題が起こった場合、彼らは責任を取る覚悟があるのだろうか、と問い掛けられました。そうした方々と議論をしてみたいとのことでしたが、応じてくれる方はいないのだそうです。

安心、安全は1人1人の考えであり、事実を事実としてとらえ、賢く生きることが必要だ、というのが締めの言葉でした。皆様はどうお考えになるでしょうか。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年6月 3日 (日曜日)

こころ温まるやさしい絵本〈とうだいのくま〉

Photoすっかりご紹介が遅れてしまいましたが、第9回タリーズピクチャーブックアワードで、小名浜出身のひるたりょうこさんが「絵本大賞」を受賞されました。ひるたさんは私が日頃大変お世話になっている、いわき建築士会会長・蛭田修二さんの娘さんです。
http://www.tullys.co.jp/pb_award2011/index.html

このアワードはタリーズコーヒーが行っているもので、タリーズの経営理念「子供たちや青少年の成長を促すために、夢や目標のお手伝いをする」ことに基づき、絵本作家の発掘・支援、そして絵本を読む子供たちに夢や希望を届けるという社会貢献活動の一つだそうです。第9回となった今回の作品テーマは「みんなで一緒に元気になれる絵本」で、「友だちや仲間と一緒にわくわく、ドキドキできる絵本」を募集しました。第8回は「明るい笑顔・明るい未来」がテーマということでしたが、今回の「一緒に元気になれる」には震災から立ち直ろうというメッセージが含まれていたのでしょうか。

「とうだいのくま」は、無人島(無動物島?)で灯台を守り続けるくまが主人公。誰もいないと思った島に実は残っていたやどかりとの友情がテーマです。作者からのメッセージは、「『みえないたからもの』って知ってる? 遠くへ探しに行かなくても、あなたのまわりにたくさんかくれているんだよ。『みえないたからものさがし』が上手になると、毎日はきっともっと楽しくなる!」。誰が見てもこのくまは蛭田修二さんではないか、と思えます。残念ながら一般書店では販売されておらず、タリーズコーヒーで販売されていますが、ネットでは購入することが出来ます。
http://honto.jp/netstore/pd-book_03535985.html

読み聞かせ用に大型絵本にしてもらえませんかね~、と修二さんにお願いしてみました。幼稚園や小学生低学年の子に読んであげたい、とってもいい絵本です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月29日 (火曜日)

いまこそ、ワーク・ライフ・バランス〈男女共同参画審議会〉

Img_0002_1_2昨日、今年度最初のいわき市男女共同参画審議会が開かれました(写真は昨年の委員委嘱時のもの)。

男女が対等なパートナーとして生きていく、というのは当たり前のことのはずですが、世の中なかなかそうなっていません。また、大事なことなんだけど「意識の問題」が大きいので、政策評価もなかなか難しい分野です。

本日の「お題」は、男女共同参画の視点でも防災対策、昨年度事業の実施状況の報告、そして今後の「ワーク・ライフ・バランス」の推進について、などでした。

いわき市のプランでは114個の施策が並んでいますが、例えば「○○講座を開催し、○人が参加した」ということでやったことになってしまいます。「やったかやらないかではなく、どういう成果が上がったかをABCDぐらいで評価すべきだ」と発言しました。審議会のような場で政策評価をするにも、行政側から与えられた資料に基づいて行うだけでは、正直言って十分とは言えません。各部署から上がってくる自己評価は例えば「○○活動全体を通して、体系的な取り組みが展開された」などとあります。う~む、何を言っているのかさっぱり分からん。行政の施策をホントに進めるには、もっと深く、かつ専門的に突っ込んでいかないといけないと痛感します。

今年度の大きなテーマである「ワーク・ライフ・バランス」。男も女も仕事ばかりじゃなく、家庭生活も充実させましょうね、男も家事や育児にちゃんと取り組んでね、ということですが、震災後、日本社会の先行き不安な中「仕事があるだけでもありがたい」という状況で、この言葉にどう説得力を持たせるのか、発信力が問われるのではないか、ということも申し上げました。日本人は働き過ぎ、日本人は家事・育児を女性に任せすぎ、ということは改善の必要があるでしょうが、日本経済そのものがこの先、ホントに持続可能なのかも不安な中、何故ワーク・ライフ・バランスなの?ということはうまく伝えていく必要があります。

阪神大震災では、女性の悲しい性被害が多くあったそうですが、東日本大震災では比較的少なかったということです。しかし、避難所で若い女性が男性から生理用品を受け取るのが恥ずかしいといったこともあり、災害時に女性の視点が欠落していたということがあります。それを受けて、いわき市の防災会議に女性を登用する方向性が確認されました。これは大変よいことだと思います。どんな委員さんが選任され、施策にどんな風に反映されるのか、注視したいと思います。

やるべきことはたくさんあるのですが、いわき市男女共同参画センターはスタッフがわずか3人。役所の人員配置も大変なのは分かりますが、せめてもう1人ぐらい増やしてよね~、と思います。センターの皆さんがこのテーマを進めようと孤軍奮闘されているのは間違いありません。

なお、この審議会はなるべく情報公開が必要だと考え、一般市民の傍聴や会議録の公開を昨年、提案しました。今回もお1人が傍聴されていましたし、これまでの会議録も公開されています。是非多くの方に関心を持っていただきたいと思います。
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/jinken/2668/013535.html


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月21日 (月曜日)

まずいと言われているが…〈スクールランチ〉

いわき市内の中学校で給食の代わりに提供されているスクールランチについて、昨年来不満が渦巻いてきました。要は「まずい」ということで、今年度から希望者は弁当でもよいということになりました。こうした状況を改善するため、署名活動をしよう!などというお母さん方がいたので、某市議の方といわき市教育委員会に事情をお聞きし、お母さん方に説明しました。簡単にまとめてみます。

●市内の給食センターは8カ所がすべて被災し、5カ所は復旧。供給能力不足は10500食分。平北調理場が復旧すると5000食が供給可能。今年の2学期中に復旧し、3学期からは供給を再開したい。四倉調理場は現在、増築中で来年度完成すると残り5500食を供給でき、給食が正常化する。残る勿来調理場は液状化により、移転・新築が必要な状況。3年後の完成を目指している。

●スクールランチは民間業者から供給されているが、市内で供給能力のある業者がおらず、毎日埼玉から冷凍で納品され、当日解凍して出している。温めたものが食べるまでにまた冷めてしまうなど、構造的に致し方ない部分もある。

●スクールランチは栄養面等で学校給食法に基づいていなければならず、食材の費用も制約があるため、お弁当屋さんのホカ弁と同列に考えることは出来ない。

●納入業者は埼玉で老人ホーム等に給食サービスを行っており、味について問題を指摘されたことは今までなく、今回の反応に驚いている。市の栄養士が試食を行い、味の改善は行っている。最近のアンケートでは「当初より改善された」が30%ほどあった。

●平北調理場が再開した場合は、特定の学校で給食再開とするか、たとえば1週間置きで提供する学校を変えるかの両案があるが、後者の方向で考えたい。

●校長会ではこれらの情報は伝えてあり、学校長は状況が分かっているはず。

これらを踏まえて、娘が通っている中学校に、ていねいな情報提供と試食会の実施をお願いしました。親たちは食べたことがないので、子供達の「まずい」という話だけで意見を言っていますが、ひょっとすると十分食べられるものを「まずい」と言ってやしないか、というところもあります。スクールランチを避けて毎日弁当づくりに追われるお母さん方も増えていますので、出来れば学校から提供されるものを美味しく食べるのがよいのではないかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«海洋汚染の現状<サイエンスカフェ>